水道水は毎日飲むものなので、味が変だと不安になりますよね。
水道水がまずいのは、実は塩素だけの問題じゃないんです。
ここでは、水道水がまずいときに考えられる6つの原因と今すぐできる対策をお伝えします。
ぜひ、この方法を実践して安全な水を飲みましょう!
1.水道水がまずいのはなぜ?まずさを生む6つの原因
あなたの家の水道水がまずいのはなぜなのか。
水道水がまずく感じられる原因はたくさんありますが、多くは次の6つに原因があります。
- 消毒に使った塩素が残っている
- カビ臭が残っている
- 水温が高くなり臭いが目立つ
- 貯水槽が汚い
- 配水管が古い
- 硬度が高い
どのような原因なのか、順番にご紹介します。
原因1.消毒に使った塩素が残っている
よく知られていることですが、水道水には雑菌を消毒するするために塩素が含まれています。
これのおかげで私たちは安全に水道水を飲むことができますが、しかしながら、この塩素は独特のにおいや味を持っており、おいしいものではありません。
そのため、塩素が水道水に残っていると、私たちは水道水をまずく感じてしまうのです。
安全な水を飲むためには仕方ないところですね。
※水道水に残った塩素のことを「残留塩素」、塩素のにおいや味のことを「カルキ臭」とも言います。
水道水にはどのくらいの塩素が入っているのか?
塩素は各家庭にお水が届くまで、しっかりと消毒できるよう計算され投入されています。
出典:木津川HP
具体的には、塩素の量は水道法(水道法施行規則)によって定められており、1リットルあたり0.1mg以上の濃度を保つよう調整されています。
ただし、0.1mg以上というのはあくまで最低限の量であり、地域や季節によって前後しますが、実際に家庭に届く塩素量は0.1mgよりも多い傾向があるようです。
WHO(世界保健機関)の飲料水水質ガイドラインによると、5mg/Lまでの塩素は健康に害がないとされています。
また、『』の記事では、水道水に含まれる塩素が起こす問題やその除去方法について解説中です。
塩素が含まれる濃度が高いと、私達の体に悪影響がでてしまいかねないので、こちらも併せてご確認ください。
原因2.カビ臭が残っている
原水の微生物が発生させたニオイであるカビ臭(2-MIBやジェオスミン)も、水道水をまずく感じる原因となります。
通常だと浄水される段階で取り除かれて全く残らないのですが、季節や環境などにより水中のプランクトンなどが大量に発生したりすると残ってしまうことがあります。
微生物は夏場に発生しやすいので、「なんだか夏になるとニオイが気になるなぁ」と以前から思われていた方は、カビ臭が原因である可能性があります。
原因3.水温が高くなり臭いが目立つ
水のおいしさは水温によって大きく変わります。
とくに温度によって変わるのはニオイです。
常温で15~20℃以上になるとカルキ臭(塩素の独特なニオイ)が目立ちやすくなるので、まずく感じやすくなります。
また、その他にも、採水地の土壌環境や排水による水質汚染などによっても臭いが目立つ場合もあります。
ちなみに、1985年4月に厚生省(現 厚生労働省)の諮問機関である「おいしい水研究会」がまとめた、「おいしい水の要件」によると、おいしいと感じやすいのは10~15℃だそうです。
これはなんとなく感覚的にも共感できますね。
原因4.貯水槽が汚い
マンションやアパートなどの集合住宅でよく使われている貯水槽。
この貯水槽が汚いとニオイや味に影響を与え、水道水がまずく感じる原因になることがあります。
貯水槽は、ポンプなどで引き込んだ水道水を一度貯水するためのタンクです。
これがあることで一気に各戸へ水道水を供給することができるのですが、一度貯水するために水質へ悪影響を与えてしまうことがあるのです。
掃除を怠っていたり、貯水槽に亀裂が入っていたりすると、藻が発生したり不純物が進入してしまったりする可能性があります。
また、貯水槽の衛生を守るのは施設の責任です。
水道局には各マンションやアパートの貯水槽の衛生状態を守らなくてはいけない義務がないので、施設管理者がきちんと管理する必要があります。
もし、「うちの貯水槽、なんだか汚そう…」といった心配があれば、管理者へ確認してみても良いかもしれません。
原因5.配水管が古い
ご自宅やお住まいのマンションまでの配水管が古いと、配水管のサビや成分が溶け出し、水道水の味わいを損わせることがあります。
劣化した配水管は自治体により交換されるのが通常ですが、自治体により管理が異なるので、聞いてみないと実情はわかりません。
原因6.硬度が高い
日本の水は一般的には硬度が低い軟水が多いため、日本人は硬度が低い水を飲み慣れています。
その影響で、硬度が高い水が出る地域の人はその水道水をまずく感じてしまうことがあるでしょう。
人によるところが大きいですが、硬度30mg/L前後の水が飲みやすいと言われています。
硬度とは、水中のカルシウムとマグネシウムの量を示す値
住んでいる地域によって硬度は変わる
水道水の原水はお住まいの地域によって変わります。
そのため、地域によっては硬度の高い水が水道から出たり、あるいは硬度の低い水が出たりすることがあります。
自分の地域の水道水がどのくらいの硬度なのかを知るには、以下のマップを参考にしてみてください。
出典:全国水質マップ(クリタック株式会社)
また、水の硬度については『』の記事で詳しく解説しています。
硬度について深く知れば、あなたにピッタリの水が選べるようになったり、料理が美味しく作れるようになるでしょう。
ぜひ、こちらの記事もご覧くださいね。
2.あなたの家はどう?水がまずくなりやすい環境とは
水がまずくなる原因としては上記にあげた6つの要因が考えられますが、まとめると、あなたの家は次の3つのいずれかの状態にあると言えます。
- 原水の硬度が高い
- 配管や貯水槽が古い
- その他の不具合
水道水は昔に比べて格段においしくなってきています。
昔は「急速濾過法」という方法で浄水していたために、トリハロメタンやカルキ臭が発生しやすく、おいしくない水道水であることが一般的でした。
しかし、今は高度浄水処理という浄水能力の高い手法が一般的なため、以前に比べて圧倒的にトリハロメタンやカルキ臭が発生しづらくなっています。
それでもなお、「水道水がまずいっ!」と感じられるのであれば、上にあげた3つの状態である可能性が高いと言えるでしょう。
もちろん、あなたの味覚が非常に優れている場合、小さなカルキ臭も感じ取れてしまい、どう改善してもまずく感じられてしまうかもしれませんが…。
『東京の水道水って本当に飲めるの?水質処理や配水方法まで詳しく調査してみた』の記事では、東京の水道水が本当に飲めるのか紹介しています。水質処理・配水方法まで掘り下げて、解説しているのでぜひご覧くださいね。
3.「水道水がまずいっ!」を今すぐ改善する4つの対策
水道水がまずいと感じられるとき、どのような方法を行えばおいしく感じられるようになるのでしょうか。
今すぐ自分で行える方法を以下にまとめてみました。
- 水道水を沸騰させる
- 水道水を冷蔵庫で1日保存しておく
- 水道水にレモン汁を入れる
- お茶にする
対策1.水道水を沸騰させる
水道水は沸騰させてから飲むという家庭がほとんどです。
沸騰させることによって塩素は抜けます。
ただし、水道水を沸騰させるときは、必ず15分以上沸騰させ続けてください。
なぜ15分以上沸騰させ続ける必要があるかというと、5分程度の短い沸騰では水道水に含まれるトリハロメタンという有害物質が、一時的に3倍程度増えてしまうからです。
15分以上沸騰させればトリハロメタンは減少するので、そこまで加熱し続ける必要があるということですね。
ちなみに、カビ臭の原因である2-MIBやジェオスミンは、水道水を沸騰させるだけでは除去されません。
カビ臭を抜くには浄水器でろ過する必要があります。
正しく水を沸騰させて、有害物質を増加させないためにも『』の記事も参考にしてください。
対策2.水道水を冷蔵庫で1日保存しておく
水道水に残った残留塩素は、空気に触れるだけで勝手に抜けていきます。
そのため、水道水をペットボトルに入れて軽く振り、そこから半日〜1日くらい保存しておくと塩素を抜くことができるんです。
ただし、完全に塩素を抜ける訳ではないので、味に敏感な人は不十分かもしれません。
加えて、カビ臭も消えません。
なので、どちらかといえば、冷蔵庫で水の温度を下げて飲むことで水道水の味を感じにくくさせる方法です。
対策3.水道水にレモン汁を入れる
水道水にレモン汁を入れるのも有効です。
レモンのビタミンCには残留塩素を分解する作用があるので、レモン汁を入れることで塩素を抜くことができます。
レモンの良い香りをつけられるので、カビ臭なども感じにくくできます。
対策4.お茶にする
またレモンと同じように、緑茶に含まれているカテキンも残留塩素を分解することができるのでお茶にするのも有効です。
お茶にしてしまえば味わいも付くので、ごまかしも効きます。
4.これで解決!お水をおいしく快適に飲む方法
上記の方法を使えば、水道水の塩素やカビ臭を取り除き、まずさを軽減することができます。
しかしながら、味わいに敏感な人は対策を行ってもわずかに残った塩素やカビ臭に気づいてしまうでしょう。
また、毎度毎度、対策をするのがめんどくさい人も多いと思います。
そこでここでは、おいしい水をなるべく快適に飲むことができる方法をご紹介したいと思います。
- 浄水器をつける
- ウォーターサーバーを利用する
- ミネラルウォーターを買う
方法1.浄水器をつける
まず1つ目に紹介するのは、定番ですが浄水器です。
浄水器を使えば、水道水に残った塩素やカビ臭を取り除くことができるので、おいしく飲むことができます。
しかも一度設置してしまえば、自動的にろ過して水道水を浄水してくれるので便利でもありますね。
ただし、費用がかかること、そしてメンテナンスの手間がかかることが難点です。
蛇口につけるタイプの簡単なものであれば、初期費用で1万円、月々1,000円程度で済みますが、しっかりした据え置き型の浄水器を利用しようと思えば初期費用で5万円ほどかかってしまうこともあります。
浄水器をつける場合は、どの浄水器を選ぶかというのが非常に大事なので詳しくは、『【2024年最新】プロが選ぶおすすめの浄水器10選|選ぶポイントや種類を徹底解説』の記事を参考にして頂ければと思います。
私がこれまでに使ってきた浄水器の経験とプロの視点から最適な浄水器を紹介しています。
方法2.ウォーターサーバーを利用する
2つ目に紹介するのは、ウォーターサーバーです。
ウォーターサーバーは、おいしい天然水を手軽に飲める便利な機械です。
冷水や温水がいつでも飲めるというメリットが浄水器とは違い、便利さでは他を圧倒します。
またウォーターサーバーを利用すれば、「富士の天然水」や「南阿蘇の天然水」など日本の名水にも並ぶような、非常に質の高い天然水を飲むことができるので、味に敏感な人も納得できるはずです。
ただし、こちらも浄水器と同じように費用がかかります。
ウォーターサーバーの機種によっても異なりますが、例えば2人暮らしだと月3,000~4,000円くらいで利用できます。
ウォーターサーバーを検討したい人は『プロが全50種を徹底比較!ウォーターサーバーおすすめランキング』の記事をお読みください。
私がこれまでに使ってきたウォーターサーバーの経験から本当におすすめできるウォーターサーバーを紹介しました。
これを読めば、あなたに合ったぴったりのウォーターサーバーが見つかるはずです。
方法3.ミネラルウォーターを買う
最後の方法は、ミネラルウォーターを買うという手段です。
なるべくお金をかけずにおいしい水が飲みたいという人は、amazonや楽天でミネラルウォーターをケース買いするのも良いと思います。
とくに1人暮らしの方で、外によく出る人は持ち歩きもできますし向いているでしょう。
メンテナンスをする必要もなく、必要な分だけ購入することもできるので、少人数であれば検討してみてもよいですね。
ただし、浄水器やウォーターサーバーだと、きれいなお水で野菜を洗ったり、サーバーから出るお湯をお味噌汁作りに使ったり、いろんな使い方ができますが、そういったメリットはありません。
5.安全?加湿器用に水道水を使っても良いの?
結論から言うと、加湿器に使う水は水道水がベストと言えます
水道水に含まれる塩素が、加湿器内の殺菌や消毒を行ってくれるからです。
東京都水道局のHPの「水道水をくみ置く際の留意事項について」によると、水は常温だと3日、冷蔵保存で10日間も菌の繁殖を防ぐことができると書かれています。
「綺麗な水だから…」と言ってミネラルウォーターを加湿器に入れてしまうと、塩素が含まれていないため、加湿器内に最近が繁殖してカビが発生してしまうのです。
そのため、加湿器の水には必ず水道水を使うべきと言えます。
加湿器に水道水を入れるべき理由について『加湿器には水道水を使おう!ミネラルウォーターを使ってはいけない理由を解説します』の記事でより詳しく紹介しています。水道水を入れていてもやってはいけない行為もまとめているので、ぜひご覧ください。
まとめ
今回は「水道水がまずい」と思われている方に向けて、水道水がまずくなる原因とその対策についてお伝えしました。
水道水のまずさの原因を知っても、一個人では根本的な対応がなかなか取れない場合も多いかと思います。
そんな時は、ぜひこの記事で紹介した今すぐできる対策やお水を快適に飲む方法を試してみてください。
あなたの不安が解決し、少しでも快適に暮らせるよう祈っています。