「都市ガスとプロパンガスってどう違うんだろう?」
「それぞれのメリットやデメリットは?」
一般家庭で利用できるガスには都市ガスとプロパンガスがあり、どんな違いがあるのかよくわからないかもしれません。
簡単な見分け方として、ガスボンベがついていないのが都市ガス、付いているのがプロパンガスです。また、原料・供給方法・重さ・料金・利用可能エリアの5種類の違いがあります。
この記事では、都市ガスとプロパンガスの違いや、自分にあった選び方を解説します。ぜひ参考にしてください!
1.都市ガスとプロパンガスの5つの違い
都市ガスとプロパンガスには、以下の5つの違いがあります。
- 原料
- 供給方法
- 重さ
- 料金システム
- 利用可能エリア
順番に見ていきましょう。
違い1.原料
1つめの違いは原料です。都市ガスとプロパンガスは以下表のように原料に違いがあります。
都市ガス | プロパンガス | |
原料 | メタンを中心とした液化天然ガス(LNG)を使用 | プロパンやブタンを主成分とした液化石油ガス(LPG)を使用 |
違い2.供給方法
2つ目の違いは供給方法です。
都市ガス | プロパンガス | |
供給方法 | 地下のガス導管を通じて供給 | 各家庭に設置したガスボンベから供給 |
こういった違いがあるため、都市ガスは導管の設備がある地域でのみ利用できます。
一方で、プロパンガスはガスボンベを運べば、山間部など導管が整備されていない場所でもガスを使えます。
違い3.重さ
3つめの違いは重量です。以下のように都市ガスとプロパンガスでは、重さに違いがあります。
都市ガス | プロパンガス | |
供給方法 | 空気より軽い | 空気より思い |
都市ガスは空気より軽いので、ガス漏れの際には窓を開けて換気すればガスを外に逃がせます。
一方、プロパンガスは空気より重いので地面付近に溜まりやすく、ほうきなどで外に出す必要があります。
違い4 .料金システム
4つ目の違いは料金システムです。
都市ガス | プロパンガス | |
料金システム | ・料金が安い ・2017年に自由化が行われ、ガス会社を選択できるようになった | ・料金が高い ・もともと消費者が自由に会社を選択できる! |
料金については都市ガスの方が安く、プロパンガスは割高な傾向があります。
また、都市ガスはもともと供給業者を選べませんでしたが、2017年の自由化で選択可能になりました。
一方、プロパンガスは以前から縛りが無く、消費者が会社を選択できます。ただし、そのことを知っている人は多くありません。
違い5 .利用可能エリア
利用可能エリアにも違いがあります。都市ガスは導管が整備された都市部でのみ利用できます。
たとえば関東では以下画像の地域で利用可能です。
都市ガスが利用できない地域に住む場合は、必然的にプロパンガスを使用することになります。
このように、都市ガスとプロパンガスには原料や料金、供給方法などさまざまな違いがあります。
2.都市ガスとプロパンガスの見分け方
賃貸物件をさがすときなどに、都市ガスとプロパンガスを見分ける方法を知っておくと役立ちます。
以下の3点を確認すると、都市ガスなのかプロパンガスなのかを見分けられます。
- ガスボンベの設置の有無
- ガス漏れ警報器の設置場所
- ガスメーターの表記
それぞれについて解説します。
ガスボンベの設置の有無
ガスボンベの設置の有無に違いがあります。
都市ガス | プロパンガス | |
料金システム | ない | ある |
敷地内にボンベがあるかどうかを見るだけなので、簡単に判別できますよ。
ガス漏れ警報器の設置場所
ガスが漏れた際に作動する、ガス漏れ警報器の設置場所にも違いがあります。
都市ガス | プロパンガス | |
設置場所 | 天井付近 | 床付近 |
ガス漏れの際、都市ガスは空気より軽いため天井付近にたまる一方で、空気より重いプロパンガスは床付近にたまるからです。
ガスメーターの表記
ガスメーターには以下のような違いがあります。
都市ガス | プロパンガス | |
液晶画面の有無 | なし | ある |
液晶の有無という非常に分かりやすい違いがあるので、見分けるのは難しくありません。
それでは、都市ガスとプロパンガスを選択できる場合、いったいどちらを選ぶべきなのでしょうか?
3.都市ガスのメリット・デメリット
まず都市ガスにはメリット・デメリットが存在するので、それぞれを解説していきます。
都市ガスのメリット
都市ガスのメリットは以下の2つです。
- 料金が安い
- 環境に優しい
詳しく見ていきましょう。
料金が安い
最初のメリットとして料金が安い点が挙げられます。
場合によっては、都市ガスとプロパンガスでは利用料金が2倍以上異なることがあります。
以下は関東地方での、利用量が5m³・10m³・15m³のときのガス料金の比較表です。
都市ガス | プロパンガス | |
5m³(2人暮らし以下) | 1,485円 | 5,032円 |
10m³(4人暮らし以上) | 2,209円 | 8,201円 |
15m³(7人暮らし以上) | 2,934円 | 14,310円 |
※参照 一般社団法人日本エネルギー経済研究所・プロパンガス料金消費者協会・東京ガス
利用量が多くなるほど、料金に差が開いているのが分かりますね。
このように、都市ガスはプロパンガスよりも大幅に安い料金で利用できるのが、大きな利点と言えます。
環境に優しい
環境にいいのも都市ガスのメリットです。
天然ガスの主成分はメタンなので、プロパンやブタンが主成分のプロパンガスよりも、CO2の排出量が少ないためです。
都市ガスは地球温暖化の原因と言われるCO2をあまり出さずに利用できる、エコな燃料と言えます。
都市ガスのデメリット
都市ガスにはメリットがある反面、デメリットも存在します。
- 災害に弱い
- 使える場所が限られる
詳しく見ていきましょう。
災害に弱い
災害に弱いのが最初のデメリットと言えます。
都市ガスは地下の導管に問題が起こると、供給が止まると復旧に時間がかかってしまいます。
万が一震災などでガス供給がストップすると、数週間~数か月程度ガスが使えなくなる可能性があるでしょう。
使える場所が限られる
場所を選ぶのも都市ガスのデメリットです。
地下に導管が通っていない地域の場合、設備が無いため都市ガスは利用できません。
その場合、必然的にプロパンガスを利用することになります。
こんな人は都市ガスがおすすめ
都市ガスがおすすめなのはこんな人です。
- ガスを安く使いたい人
- ガス利用量が多い人
都市ガスの魅力はなんと言っても料金の安さです。
物件をこれから決める段階であれば、基本的には都市ガスの物件にすることをおすすめします。
毎日湯船にお風呂を貯めるなどガス利用量が多い方は、都市ガスを選ぶとガス代の節約になるでしょう。ガス会社の選び方はこちら(ページ内を移動します)。
4.プロパンガスのメリット・デメリット
プロパンガスにはいったいどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
プロパンガスのメリット
プロパンガスのメリットは以下の2点です。
- どこでも使える
- 災害に強い
どこでも使える
場所を選ばずどこでも利用できるのがプロパンガスの大きなメリットです。
ガスボンベを設置すれば、都市ガス供給用の導管が無くてもガスを利用できます。
配管が無い地域でもガスが使えるのは、プロパンガスのおかげですね。
災害に強い
災害に強いのもプロパンガスのメリットです。
家の外に設置されたガスボンベから直接ガスが供給されるので、万が一設備に問題が生じてもすぐに復旧できるからです。
そのため、地震が多い地域に住んでいるなどの理由で災害が心配な方は、プロパンガスの方がいいかもしれません。
プロパンガスのデメリット
続いて、プロパンガスのデメリットは以下の点です。
- 健全な価格競争が起こりにくく価格が高い
健全な価格競争が起こりにくく価格が高い
プロパンガスは価格競争が起こりにくく、価格が高い傾向があります。会社同士で話し合い価格を高く維持しているのです。
「この地域の料金は5m³あたり最低5,000円にしよう」などと、こっそりと決めているというイメージですね。
そのため、業者どうしで価格競争している都市ガスと比べて、どうしても価格が高くなってしまいます。
こんな人はプロパンガスがおすすめ
こんな人はプロパンガスがおすすめです。
- 災害に備えたい人
- マンションオーナー
プロパンガスはガスボンベがあればガスが使えるので、都市ガスよりも災害に強いという特徴があります。
そのため、いざというときに備えたいならプロパンガスの方がいいでしょう。
また、マンションオーナーの方はプロパンガスの会社と契約すると、以下のような色々なサービスを受けられることが多くメリットが大きいです。
- インターネットの無料導入
- エアコン・給湯器・インターホンなどの貸し出し
こういったサービスを利用すれば、入居者が増えやすくなる可能性も高そうです。ガス会社の選び方はこちら(ページ内を移動します)。
5.都市ガス・プロパンガスのガス代を下げるには?
都市ガス・プロパンガスいずれを利用している場合も、今よりも価格を安くできる可能性があります。
料金を下げる方法は以下の2つです。
- ガス会社を見直す
- ガスを節約して利用する
それぞれについて解説します。
ガス会社を見直す
都市ガスもプロパンガスも、見直しのサービスを使って契約する会社を変更すると、料金を下げられる可能性があります。
都市ガスの場合
都市ガスは自由化されており契約する会社を自由に選択できます。
料金の低い会社をさがすには、比較サービスであるガスチョイスを使うと便利です。
URL | 料金 | 特徴 | |
ガスチョイス | https://gas-choice.net/ | 完全無料 | ・ポイントサービスや定額制などのメニューあり ・利用で最大3万円キャッシュバック |
現在の料金を確認した上で、より安くガスを使える会社に申し込むだけなので、切り替えもかんたんです。
プロパンガスの場合
プロパンガスの場合も契約する会社を選択できるので、乗り換えれば安くなる可能性も高いです。
都市ガスと同様専用の比較サイトがあるので、利用して好条件で契約できる会社を見つけましょう。
おすすめの比較サービスは以下の2種類です。
URL | 料金 | 特徴 | |
ガス屋の窓口 | https://gasuyanomadoguchi.com/ | 完全無料 | ・13万世帯が利用している ・不当な値上げがあった場合返金保証 ・非対応地域あり |
エネピ | https://enepi.jp/ | 完全無料 | ・切り替え完了でAmazonギフト券5千円分がもらえる ・全国対応 |
エネピは全国対応で、切り替えの特典でAmazonギフト券がもらえるので、エネピを優先して使いましょう。
ただし、両方の業者の対象地域にお住いの場合は、両方を利用するとより価格の安い業者を紹介してもらえる可能性が高まります。
したがって、併用するのもおすすめです。
ガスを節約して利用する
ガス会社の変更以外にも、ガス利用の節約でも料金を安くできます。
料金を安くするには、以下のような点に気を付けるといいでしょう。
- シャワーの時間を短くする
- シャワーを出しっぱなしにしない
- 節水シャワーを取り付ける
- 長時間の煮込み料理には圧力なべを使う
- 皿洗いの際にお湯を出しっぱなしにしない
- お湯の温度を低めに設定する
このように、お風呂やキッチンで使うガスを節約することで、ガス料金を安くできます。
無理をしても続かないので、できることから始めてみるといいでしょう。
6.プロパンガスから都市ガスに乗り換えるには?
都市ガスの導管が整備されている地域であれば、プロパンガスから都市ガスに乗り換えが可能です。
乗り換えの手順は以下の通りです。
- エリアの確認
- 都市ガスの会社を選ぶ
- 見積もり・契約
- 導管の引き込み工事の日程を決める
- プロパンガスの撤去の連絡
- ガス管の引き込み工事
- 都市ガスの供給スタート
それぞれのステップを簡単に解説していきます。
手順1.エリアを確認する
都市ガスが利用できる地域なのかどうかを確認します。
確認は「一般社団法人 日本ガス協会」のガス事業者検索ページで確認できます。
導管が整備されている地域であれば、都市ガスに乗り換え可能です。
手順2.都市ガスの会社を選ぶ
次に都市ガスの供給会社を選びます。
2017年に都市ガスの契約が自由化されたので、好きな会社を選択できます。
色々な会社の料金を見比べて決めましょう。
オススメのガス会社は以下の通りです。
東京ガス・東邦ガスエリア| エルピオ都市ガス | |
| |
大阪ガスエリア | レモンガス | |
|
手順3.見積もり・契約
契約する会社を決めたら、その会社に連絡し都市ガスに変更したい旨を伝えます。
そのうえで見積りを取ってもらいましょう。
どのくらいの費用がかかるか分かり、問題が無ければ契約を結びます。
手順4.導管の引き込み工事の日程を決める
導線の引き込み工事をいつ依頼するか決めて、ガス会社に依頼しましょう。
手順5.プロパンガスの撤去の連絡
続いてプロパンガスの会社に撤去したい旨を伝えます。
撤去するとプロパンガスが使えなくなるので、都市ガス導入日に解約するようにしましょう。
手順6.ガス管の引き込み工事
工事当日が来たら都市ガスのガス管の引き込み工事がスタートします。
工事が完了したらプロパンガスから都市ガスへの乗り換えが完了します。
手順7.都市ガスの供給スタート
都市ガスの供給がスタートし利用できるようになります。
工事には道路管理者への許可申請などの手続きが必要なため、乗り換えには1~2か月かかることが多いです。
まとめ
都市ガスとプロパンガスには、原料・供給方法・重さ・料金の4点に違いがあります。
以下のようにそれぞれにメリット・デメリットがあり、どちらを選ぶべきかは状況によって変わる可能性があります。
都市ガス | プロパンガス | |
メリット | 価格が安い | 災害に強い・どこでも使える |
基本的には、料金の安い都市ガスを選んだ方がお得に使えるのでおすすめです。
ただし、災害への強さという面ではプロパンガスのほうが優れています。
また、都市ガスが使えない地域なら必然的にプロパンガスを使うことになるでしょう。
すでに都市ガスもしくはプロパンガスを利用している方の場合は、契約する会社を切り替えることで料金を下げられる可能性があります。
料金が高いと感じている場合は、比較サービスで見積もりを取ってみるといいでしょう。