皆さんは、“浄水器を使われてますか?”
「蛇口につけるやつなら使ってる!」
「ポット型を使ってるよ。」
「うちはシンクと一体型のものを使ってます。」
など、多くの方が使われているのではないでしょうか。
しかし、実はこの浄水器…間違った使い方をしていることが多いんです!
実際に、私の知人の範囲ですが、浄水器を使っている10人に質問したところ、第2章でご紹介する5つの間違いを全て知っている人はいませんでした。
そこで本記事では、飲み水はもちろん、味噌汁の水やコーヒーなど、生活における全ての水にこだわる水の専門家が「浄水器の意外と知らない知識」を解説したいと思います。
ぜひ、チェックリストだけでも確認して、浄水器の使い方を見直してみてください。
浄水器の正しい知識を知った後は『【2023年最新】プロが選ぶおすすめの浄水器10選|選ぶポイントや種類を徹底解説』の記事も是非ご覧になると良いでしょう。
- 蛇口直結型浄水器を選ぶポイント
- おすすめの機種やその口コミ
以上の内容が気になる方は、ぜひとも参考にしてください。
【第1章】浄水器が水をきれいにする仕組み
まず第1章では、浄水器の仕組みをご紹介したいと思います。
「浄水器は水を“ろ過”してきれいにしている」ということくらいは恐らく知っている人は多いでしょう。
しかしながら、「実際にどのようにろ過されているか」説明できる人はほとんどいません。
一見、「難しそう」と思われるかもしれませんが、意外と原始的でアナログなんです。
1-1.浄水器の仕組みとは
浄水器が水をきれいにする仕組みは、意外にも簡単なものです。
ろ材(ろ過をする際に使う素材)の説明が入ると難しく感じやすいのですが、図解してしまえば単純な仕組みであることがわかります。
では、実際に図解して見てみましょう。
下の図は、浄水器の中でも人気があって、よく使われているトレビーノカセッティ206SMXをざっくりとした断面図です。
この図解を使って、きれいな水(浄水)が作られるまでの流れを簡単に説明していきますね。
まずスタートは、右側の管です。
この管を通って水道水が入っていきます。
次に、その水道水は、水圧に押されながら左側のカートリッジ部分へ流れ込んで行きます。
ここで、水道水を待ち構えるのは、有害物質を取り除くことができる「ろ材(活性炭やイオン交換体)」です。
水道水は、これらの“ろ材”を通ることで、どんどん“ろ過”が進んでいきます。
そして、大きいものから順番に有害物質が取り除かれ、最後は左側の口からきれいな水だけが出てきます。
以上が、浄水器の大まかな仕組みです。
もちろん浄水器によって仕組みは違うのですが、基本的にはフィルターを通って“ろ過”していく順序に違いはありません。
1-2.ろ材ってなに?
ちなみに、“ろ材”とはどんなものかご存知でしょうか?
簡単に説明すると、“ろ材”とは先ほどお伝えしたように、水を“ろ過”するフィルターです。
水に含まれているゴミを取り除けたり、有害物質を吸着できたりします。
具体的には、焼いた炭(活性炭)、化学的なつぶつぶ(イオン交換体)、細かい糸(中空糸)などがありますね。
“ろ材”の種類はその他にもたくさんあるのですが、正直なところ、興味がある人の方が少ないと思いますので、割愛しますね(笑)
知りたい人は第5章で触れていますので、ぜひご覧ください。
“ろ材”の種類ごとに、どんな物質を除去できるのか、そしてどんな違いやどんなデメリットがあるのかお伝えしています。
【第2章】5つの間違い|あなたは浄水器を正しく使えていますか?
第2章では、現在浄水器を使ってる人でも意外と知らない「浄水器の5つの間違い」をご紹介していきたいと思います。
- 普段の水を出すスピードで正しく“ろ過”できている
- お湯が使える
- 浄水は腐りにくい
- カートリッジ交換のタイミングは“期間だけ”で判断する
- 浄水器のスペックはほとんど一緒
あなたは5つの間違いをどれだけ把握して、浄水器を使っていますか?
間違い1.普段の水を出すスピードで正しく“ろ過”できている
もし次の動画のようなスピードで水を出しているなら、あなたは浄水器を正しく使えていません。
どうですか?
このくらいのスピードで水を使うことって結構ありますよね。
でも、このスピードでは浄水器を正しく使えていないんです。
なぜかというと、浄水器には「十分にろ過できる適度な水のスピード(ろ過流量)」という基準があるからなんです。
たとえば、この動画で使っている浄水器(クリンスイCSP801i)のろ過流量は「1.6L/分」です。
なので、1分間に1.6Lの速度、つまり200mlのコップに水を入れようとすれば「7.5秒」かかるスピードが適切であると言えます。
では、実際にどのくらいのスピードなのか見てみましょう。
「なんかテンポ悪い…」と思ってしまいませんか?
そうなんです。
でも、これが最大限に浄水器を活用できるスピードなんです。
もちろん、これ以上に速く出している場合でも、ある程度の浄水効果がありますが、その効果は確実に落ちているでしょう。
浄水器によって出せるスピードは違う!
少し余談ですが、浄水器の中でも種類によって“ろ過流量”の数値は変わります。
そのため、浄水器の“ろ過流量”はそれぞれチェックしておく必要があります。
たとえば、一般的にな有名な4機種の“ろ過流量”は次の通りです。
きよまろ(高除去タイプ) | 3.5L/分(コップ1杯:3.4秒) |
トレビーノカセッティ206SMX | 3.0L/分(コップ1杯:4秒) |
ブリタオンタップ | 1.8L/分(コップ1杯:6.6秒) |
クリンスイCSP801i | 1.6L/分(コップ1杯:7.5秒) |
先ほど使用していたクリンスイCSP801iは、この4種の中でも最も遅いスピードですね。
実際に、これらの速度がどのくらい違うのか比べてみましょう。
コップで比較するとわかりづらいので、500mlのペットボトルを置き、速度が感じられやすいように検証してみました。
なぜこれだけの差が出るかというと、主な理由としては、それぞれの「浄水能力」が違うからということが挙げられます。
以下に、それぞれの浄水能力をまとめてみましたので見てください。
きよまろ | 3.5L/分(コップ1杯:3.4秒)⇒ 浄水能力:4/13 |
トレビーノカセッティ | 3.0L/分(コップ1杯:4秒)⇒ 浄水能力:13/13 |
ブリタオンタップ | 1.8L/分(コップ1杯:6.6秒)⇒ 浄水能力:10/13 |
クリンスイCSP801i | 1.6L/分(コップ1杯:7.5秒)⇒ 浄水能力:13/13 |
このように、浄水能力が強いほど浄水するのに時間がかかるんですね。
フィルターが細かいほど水が通りにくい様子を想像していただければわかりやすいと思います。
ただし、検証に使用したトレビーノカセッティ206SMXは時短浄水という新しい“ろ過”システムを採用しているため、例外的に早く水を注げます。
まぁその分、カートリッジの限界は他よりも早く達してしまうのですが…
浄水能力とは、その名の通り、浄水器がどれだけ有害物質を除去できるかを示したものです。
日本のJIS S3201という工業規格では、浄水器に必要な浄水能力を13項目指定しています。
- 残留塩素
- 濁り
- クロロホルム
- ブロモジクロロメタン
- ジブロモクロロメタン
- ブロモホルム
- テトラクロロエチレン
- トリクロロエチレン
- 1・1・1-トリクロロエタン
- 総トリハロメタン
- 農薬 (CAT)
- かび臭(2-MIB)
- 溶解性鉛
参考:消費者庁<浄水器>
間違い2.お湯が使える
お湯を浄水器に通し、味噌汁やコーヒーを作っている人はいませんか?
これは間違った使い方なので、やめた方が良いでしょう。
実は大半の浄水器は、35度以上のお湯が使えないんです。
なぜお湯が使えないのかというと、その理由は2つあります。
1つ目の理由は、ろ材(活性炭)に吸着した有害物質(トリハロメタン)が流れ出てしまうことがあるから。
そして2つ目は、ろ材である中空糸をダメにしてしまうからです。
中空糸の素材であるポリエチレンの耐熱性は約40度。
なので、40度以上のお湯を通してしまうと、中空糸の穴が潰れてしまったり、中空糸を保持している部材に穴ができてしまったりする可能性があるのです。
一般的な給湯器の場合、蛇口から出てくるお湯の温度は40度〜60度なので、どんな家庭でも注意がいります。
しかしながら、もしお湯を使ってしまっていたのであれば、次に使用する前に20秒くらい水を出しっ放しにしておいて下さい。
そうすると、一度吸着が離れた有害物質を流しきることができます。
間違い3.浄水は腐りにくい
浄水器に通した水を容器に入れて、数日の間飲み続けていませんか?
もしその水を「3日以上」飲み続けているのであれば要注意です。
なぜなら、浄水器に通した水(浄水)は、塩素が抜けて菌が繁殖しやすくなっているからです。
これについて、浄水器に詳しいアイク生活環境研究所の池裕次郎さんは、著書にて次のように述べています。
浄水には菌がいない、あるいは基準値以下で少ないのですが、浄水を入れた容器に菌がついていることがあり、また空気中からはかならず菌が入ります。
〜中略〜
どのくらいの期間まで安全かについては、入り込んだ菌の数や種類、浄水中の菌の栄養量、温度などによって異なりますので一概にいえませんが、常温で半日程度ならばまず心配ありません。
冷蔵庫など冷暗所で保存している場合は、1〜2日程度を目安にしてください。
引用元:池裕次郎(2008)『安全でおいしい水が飲みたい!浄水器 かしこい選び方・使い方』亜紀書房
つまり、池裕次郎さんによると、浄水には菌がいないが、浄水を入れた容器には菌がついていることがあるということ。
なので、もし浄水を容器で保存する場合は、常温は半日まで、冷蔵庫で保存する場合は、遅くとも2日間で飲み切った方が良いようです。
加湿器を使う時に、浄水をタンクに入れて使っている人はいませんか?
これについても上でお伝えしたように、菌が繁殖しやすいので良くありません。
加湿器や空気清浄機を販売しているシャープの公式サイトでも「水道水以外は使わないでください」と記載があります。
湿度を高めることはインフルエンザなどの感染防止に有効だと言われていますが、決して「浄水」ではしないように注意してくださいね。
間違い4.カートリッジ交換のタイミングは“期間だけ”で判断する
水道水を正しくろ過するには、カートリッジの“ろ過機能”が十分に機能していることが重要です。
しかし、カートリッジの交換は怠りやすく、交換時期がきてもそのままにして使っている人は少なくありません。
そして、さらに正確に言うなら、交換時期だけを気にするだけでは不十分です。
なぜなら、ろ材は有害物質を蓄積しているのであって、消している訳ではないからです。
ろ材の蓄積できる限界量を超えてしまうと、有害物質を吸着する効率性はぐっと落ちてしまいます。
どの浄水器でも、浄水できる限界量は決まっていますので、不明確な場合は確認しておきましょう。
浄水器の取扱説明書やパッケージに“ろ過量”という名称で、記載があると思います。
ちなみに、最近では“ろ過量”の残量を、簡単にスマホで調べることができる浄水器も発売されているので、忘れっぽい人には便利です。
たとえば、下の写真は、クリンスイcsp801iで残量を調べている様子です。
アプリを起動して浄水器にタッチすると、カートリッジが“ろ過”できる残量や残りの目安期間が表示されます。
間違い5.浄水器の品質はほとんど一緒
浄水器の品質の違いを皆さんはご存知でしょうか。
Amazonや楽天などで1,000円代から売られている激安の浄水器がありながら、世の中には数十万円するものまであります。
その中の口コミを見ると、やはり安いものが人気なようで、「どれも一緒だろう」と思って安いものばかり購入してしまう人がいるようです。
しかし、これは間違いです。
浄水器にはもちろん、価格による品質の差があります。
たとえば、浄水能力。
これは、その浄水器が「有害物質をどれだけ除去できるか」という数値ですが、この数値は浄水器によって大きく異なります。
蛇口直結型の浄水器で例をあげると、クリンスイcsp801iやトレビーノカセッティSMX206などは、JIS規格の全13項目の有害物質を除去することができますが、きよまろの浄水器は4項目しか除去することができません。
そのほかにも浄水器によって、“ろ過流量”や“ろ過量”、カートリッジの耐久力なども違います。
このように、浄水器の品質は一つ一つ違うので、良い浄水器を選ぶには、購入前にきちんと品質を確認しておくことが大切です。
【第3章】浄水器の6つの種類
いよいよ記事も後半、第3章まで進んできました。
この章では、「浄水器ってどんな種類があるの?」という質問に答えていきたいと思います。
一般的には、次の6つの種類が主な浄水器として使われています。
- 蛇口直結型
- ポット型
- ボトル型
- 据置型
- アンダーシンク(ビルトイン)型
- 蛇口一体型
“ろ過”をする仕組みはどれも同じですが、設置場所(どこでろ過するのか)やカートリッジの大きさなどが違います。
それぞれ、どんな特徴を持っているのか比較しながらご紹介していきますね。
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- 浄水能力:どれだけ有害物質を除去できるか
- 浄水スピード:どれだけ早く“ろ過”できるか
- カートリッジ耐久力:どれだけ長くカートリッジが持つか
- サイズの大きさ:浄水器の大きさ
- 料金の安さ:実質的な料金の安さ(料金=購入代金+カートリッジ代+工事費)
1.蛇口直結型
浄水能力 | ★★★☆☆ |
浄水スピード | ★★★☆☆ |
カートリッジ耐久力 | ★★☆☆☆ |
サイズの大きさ | ★☆☆☆☆ |
料金の安さ | ★★★★☆ |
蛇口直結型は、その名の通り、蛇口に直接取り付ける小型の浄水器を指します。
手軽に取り付けられて、一度つけてしまえば手間がかからないので、幅広い人に人気のタイプです。
注意するべきこととしては、蛇口の先端に取り付けるので、シンクのサイズによっては、流し台と蛇口の距離が近づいてしまうことでしょう。
これにより、場合によっては水を汲みにくくなることがあります。
写真の機種:クリンスイCSP801i|定価:12,500円(税抜)
2.ポット型
浄水能力 | ★★☆☆☆ |
浄水スピード | ★☆☆☆☆ |
カートリッジ耐久力 | ★☆☆☆☆ |
サイズの大きさ | ★★☆☆☆ |
料金の安さ | ★★★★★ |
ポットの中にカートリッジを入れ、そこに水を通すことで“ろ過”するポット型。
数千円から買うことができるので、値段はとてもリーズナブルです。
一般的な使い方は、飲料用にあらかじめ水を汲んでおき、冷蔵庫で冷やしておくような感じです。
ただし、浄水する速度が遅いので、水を汲んでから一度に浄水できる量に限りがあります。
たとえば、上のBRITAのスタイルだと1分間で170ml程度しか浄水できないので、喉が乾いたときにすぐ飲めず、使いにくいと感じる時があります。
写真の機種:BRITA スタイル|定価:3,980円(税抜)
3.ボトル型
浄水能力 | ★★☆☆☆ |
浄水スピード | ★☆☆☆☆ |
カートリッジ耐久力 | ★☆☆☆☆ |
サイズの大きさ | ★☆☆☆☆ |
料金の安さ | ★★★☆☆ |
ボトル型は、近年BRITAから登場したばかりの新しいタイプ。
水道水をそのまま入れておき、飲む動作と同時に、水道水がカートリッジを通って“ろ過”されるという優れもの。
カートリッジが小さいので浄水能力は低めですが、飲む寸前にろ過されるので衛生的。
ただし、カートリッジの耐久力がダントツで少ないため、カートリッジは1~2ヶ月で交換する必要があります。
写真の機種:BRITA FILL&GO ACTIVE|定価:1,366円(税抜)
4.据置型
浄水能力 | ★★★★★ |
浄水スピード | ★★★★★ |
カートリッジ耐久力 | ★★★★★ |
サイズの大きさ | ★★★★★ |
料金の安さ | ★★☆☆☆ |
ホースを使い、蛇口と繋ぐことで使える据置型の浄水器。
シンク横に置くので、結構邪魔になることが多いです。
サイズも大きめで、幅21cm、奥行11.7cm、高さは30.6cmあります。(写真の機種)
しかし、蛇口設置型などと比べて装置が大きい分、浄水能力やカートリッジ耐久力はこちらの方が基本的に優秀です。
整水機能が付いているものもあります。
ただし料金は約5万〜10万円しますので、買う人を選びます。
写真の機種:クリンスイエミネントⅡ EM802|定価:78,000円(税抜)
5.アンダーシンク(ビルトイン)型
浄水能力 | ★★★★★ |
浄水スピード | ★★★★★ |
カートリッジ耐久力 | ★★★★★ |
サイズの大きさ | ★☆☆☆☆ |
料金の安さ | ★☆☆☆☆ |
キッチンの下に“ろ過”装置を取り付けるタイプの浄水器。
カートリッジなどが一切見えないので、キッチンがスッキリします。
しかし、こちらは設置工事が必要になるので、当然値段も高くおおよそ5万~15万円程度かかります。
新築の家を建てる時に、よく案内されるタイプです。
写真の機種:アンダーシンクタイプ複合水栓F904C1|定価:89,000円(税抜)
6.水栓一体型
浄水能力 | ★★★★☆ |
浄水スピード | ★★★☆☆ |
カートリッジ耐久力 | ★★★☆☆ |
サイズの大きさ | ★☆☆☆☆ |
料金の安さ | ★☆☆☆☆ |
こちらは、蛇口の内部にカートリッジを仕込むタイプの浄水器です。
蛇口直結型とは違い、蛇口の内部にカートリッジを仕込むので、外からはカートリッジが見えずスマートです。
しかし、専用の蛇口が必要となるため、アンダーシンク型と同じく設置工事が欠かせません。
そのため、機種によって差がありますが、こちらも料金が高く5万~10万円はします。
写真の機種:みず工房グース|定価:50,000円(税抜)
【第4章】ベストな水の飲み方とは?5つの飲み方を比較
これまでは浄水器に焦点を当て、仕組みや種類を説明してきましたが、第4章では「水の飲み方」に注目していきたいと思います。
今まで見てきたように、浄水器は万能なアイテムではありません。
水を出すスピードを気にする必要があったり、カートリッジを交換しなければいけなかったりと、以外に手間がかかるものです。
しかしもちろん、定期的な手間を省けば、手軽に水道水がおいしく飲めるようになるといったメリットもあります。
つまりは、良いとこもあれば悪いところもあるので、使う人を選ぶのです。
そこでここでは、水の飲み方5つを比較し、メリットやデメリットなどをまとめてみました。
各飲み方についての解説は後ほど一つずつ行なっていきます。
まずはざっくりと特徴を把握し、「自分に合った飲み方」を発見する参考にしてください。(※おいしさは主観です)
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方法1.水道水をそのまま飲む
おすすめ | 水の味が気にならない人 |
特徴 | ○ 費用は水代だけ ○ 蛇口をひねれば飲める |
おいしさ | ★☆☆☆☆ |
安さ | ★★★★★ |
便利さ | ★★★★☆ |
水道水は、蛇口をひねるだけで飲めるので、いつでもすぐ飲めて便利です。
まさに「最も手軽な水を飲む方法」だと言えるでしょう。
ただし、そう言えるのは「水道水の味わいを気にしない人」だけ。
皆さんご存知のとおり、水道水は塩素による消毒がされています。
これにより、雑菌が繁殖せず安全な飲料水として飲めるのですが、独特の苦味や臭みがするので「おいしい」とは言えない味わいがします。
方法2.水道水を沸かして飲む
おすすめ | 安く飲みたい人(少人数) |
特徴 | ○ カルキ臭がしない ○ 費用は水代だけ ○ 沸かす手間がある |
おいしさ | ★★☆☆☆ |
安さ | ★★★★★ |
便利さ | ★★☆☆☆ |
「水道水をそのまま飲むのはちょっとなぁ…」と思う人が手軽に行える手段として、「沸かして飲む」という方法がありますね。
たしかに、水道水を10分以上沸騰させることで、水道水に含まれるトリハロメタン(残留塩素)を除去し、飲みやすくできます。
しかしながら、この手法は手間がかかるのが問題ですね。
沸かすのに5分、トリハロメタン除去に10分、冷ますのに1時間はかかります。
水道水やトリハロメタンについて詳しく知りたい方は『水道水は沸騰させても危険?安全のために知っておくべき正しい知識』を参考にしてください。
方法3.浄水器を使う
おすすめ | 安く飲みたい人(3人以上) |
特徴 | ○ 有害物質を除去できる ○ 定期的な費用がかかる ○ 手入れが必要だが普段は楽 |
おいしさ | ★★★☆☆ |
安さ | ★★★★☆ |
便利さ | ★★★☆☆ |
これまで取り扱ってきた浄水器を使う方法です。(ここでは利用者の多い蛇口直結型を想定)
どんな価格帯の浄水器を使うのかによっても変わってきますが、比較的安く、そして水道水をおいしく飲める手法です。
定期的なカートリッジ交換を必要とするので、手間が全くないとは言えませんが、日常的にメンテナンスすることはほぼないので快適に使えます。
かかる費用は安いものだと年間1〜2万円くらい、1ヶ月でいうと約1,000〜2,000円くらいです。
ペットボトルやウォーターサーバーだと水代が高く、飲んだ分だけ費用がかさみますが、浄水器であればそこまで高くつかないので、ご家族にはおすすめです。
方法4.ペットボトルを買う
おすすめ | 持ち運びしたい人 |
特徴 | ○ 好きな天然水が飲める ○ 保存がきく ○ すぐに飲めて持ち運びできる |
おいしさ | ★★★★★ |
安さ | ★★★☆☆ |
便利さ | ★★★★☆ |
ペットボトルを買う主な利点は3つあります。
1つは好きな天然水が飲めること、2つ目は保存がきくこと、そして3つ目は持ち運びができることです。
好きな水を好きなタイミング、好きな場所で楽しむことができます。
逆にデメリットとしては、費用がかかること、保存の場所をとること、そしてゴミが出ることが挙げられます。
一長一短ですが、これらの利点をもっとも活用できるのは、水にこだわりたい人や一人暮らしの方でしょう。
ちなみに、天然水が2L入ったペットボトルを1本120円くらいで買えるので、仮に1日1L飲むとすると、1ヶ月1,800円くらいの費用で済みます。(価格はAmazon参考)
方法5.ウォーターサーバーを利用する
おすすめ | 冷水や温水を使いたい人 |
特徴 | ○ 天然水が飲める ○ レンタル料がかかる ○ 冷水や温水がすぐ飲める |
おいしさ | ★★★★★ |
安さ | ★☆☆☆☆ |
便利さ | ★★★★★ |
最後にウォーターサーバーについて紹介しますが、ハッキリ言ってウォーターサーバーは安くありません…
ウォーターサーバーを利用してかかる料金は主に2人暮らしで、月3,000~5,000円程度。
どれだけ安いウォーターサーバーを利用しても、水道水や浄水器より安く済むことはないでしょう。
しかし、その料金に見合うメリットもあります。
代表的なところでいうと、おいしい天然水を味わえたり、冷水や温水がいつでも楽しめることでしょう。
この点については、その他の飲み方に比べて圧倒的に優秀です。
正直使ってみないとわかりにくいかと思いますが、いつでも冷水が飲めたり、コーヒーやインスタント食品が作れるのは想像以上に快適なんです。
※機種名:スラット(フレシャス)
料金のことで、なかなか手を出しにくい方もいらっしゃるかもしれませんが、「おいしい天然水が飲みたい人」や「冷水や温水がいつでも使える便利な暮らしがしたい人」、「赤ちゃんのミルク作りに苦労している人」にはおすすめです。
いわゆるウォーターサーバーとは少し違うのですが、最近CMなどで話題になっているウォータースタンドは便利に、そして安く使えるのでおすすめです。
ウォータースタンドの主な特徴は次の5つです。
- 水道直結で水が飲み放題
- 料金が定額で月3,850円から利用できる
- 冷水・温水・常温水が使える
- ボトルが不要
- メンテナンスや設置は全てスタッフ任せ
私はこれを2年くらいに前に使い出したのですが、思ったよりも便利で今でも使い続けています。
ウォーターサーバーとの違いは、天然水ではなく浄水であることと、料金が定額であることです。
水の味は浄水なのでまぁまぁと言ったところですが、コストパフォーマンス的にはかなり良いと思います。
実際に使ったレビューを『知らないと100%損!ウォータースタンドを使った感想を正直にレビュー』で紹介しているので、もし興味があればチェックしてみてください。
【第5章】ろ材の種類
ろ材は浄水器の中で核となるパーツです。
これの能力によって、浄水器の能力はほとんど決まります。
ろ材には高価なものから安価なものまで幅広い種類がありますが、ここでは代表的な「ろ材」をご紹介していきたいと思います。
5-1.活性炭
初期の浄水器から使用されている、最も基本的なろ材です。炭を高熱処理して作られます。
炭素物質が持つ細かい穴が、カビ臭やカルキ臭などの不純物を除去します。
除去できる物質 | 異臭味・カビ臭・カルキ臭・残留塩素・ビスフェノールA・トリハロメタン・農薬類 |
メリット | 加工しやすいので使いやすい・コストが低い・抗菌物質を混ぜることもできる |
デメリット | 長持ちしない(交換時期が近い)・適正時期を超えて使うと除去した物質が流れ出てしまうことがある |
5-2.中空糸
中空糸とは、ナイロンなどで作られた非常に細いストロー状の糸のことです。
細菌も通さないほどの微小な穴が空いていて、この穴がカビや鉄さび、濁り性分、細菌などを除去します。
汚れてくると、糸の色が茶色に変色するので、汚れ具合がわかりやすいです。
除去できる物質 | 赤さび・濁り成分・水カビ・クリプトスポリジウム・一般細菌 |
メリット | ミネラルを除去せずに有害物質を取り除ける |
デメリット | 塩素などの重要な物質を除去できない・分子状の物質は除去できない |
5-3.不織布
不織布とは、繊維をおらずに絡ませることで作った布のこと。
目の細かさによって使い分けされますが、不純物を物理的に取り除けるので、他の“ろ材”に通す前処理として使われることが多いです。
除去できる物質 | 残留塩素・カルキ臭・赤さび |
メリット | 加工しやすいので使いやすい・コストが低い・抗菌物質を混ぜることもできる |
デメリット | 長持ちしない(交換時期が近い)・適正時期を超えて使うと除去した物質が流れ出てしまうことがある |
5-4.イオン交換樹脂
イオン交換樹脂は、素材によって除去する成分を決められる樹脂です。
陰と陽の2種類があり、それぞれの樹脂に吸着しやすいイオンのみを吸着させられるので、特定の成分だけを除去することが可能です。
除去できる物質 | 鉄(陽)・鉛(陽)・硝酸性窒素(陰) |
メリット | 素材によって除去する成分を決められる |
デメリット | 有機物や細菌類の除去はできない |
5-5.セラミック膜
セラミックでつくられた“ろ過膜”です。
セラミックにも微細な穴が空いており、中空糸と同じような働きをします。
除去できる物質 | 赤さび、濁り成分、水カビ、クリプトスポリジウム、一般細菌 |
メリット | ミネラルを除去しない・吸着した物質が流れ出ることがない |
デメリット | 目詰まりしやすい・分子状の物質は除去できない |
5-6.逆浸透膜(RO膜)
RO膜とは、浸透圧を利用することで水分子だけを抽出することができる膜のこと。
海水を淡水化するときなどに使え、現存する“ろ過”方法の中で最も“ろ過”能力が高いです。
ただし、ほとんどのものを除去できる反面、ミネラルまで一緒に除去してしまいます。
除去できる物質 | 一般細菌・病原菌・クリプトスポリジウム・ウィルス・鉛・アスベスト・ビスフェノールA・アルミニウム・トリハロメタン類・農薬類・硝酸性窒素・亜硝酸性窒素・ダイオキシン・環境ホルモン・カドミウム・ヒ素・トリクロロエチレン・テトラクロロエチレン |
メリット | 除去能力が最も高い |
デメリット | ろ過するのに時間がかかる・排水が出る・ミネラルも除去する |
浄水器に関してよくある質問
最後に、浄水器についてよくある質問をまとめておきます。
Q1.水道水って安全なの?
水道水は、厚生労働省が定めた厳しい水質基準をクリアした水です。
汚い水道管のイメージや塩素のことばかり取り上げられがちですが、51項目の水質基準、26項目の管理基準、そして15項目農薬類に関する基準をクリアして、各家庭へ運ばれている安全な水です。(参考:厚生労働省)
たしかに、1970年代から1980年代あたりに、水道水には有害物質が含まれているとニュースが出て話題になったこともありましたが、2003年辺りから基準が大きく見直され、今ではWHOの飲料水水質ガイドラインと並ぶ厳しい基準で管理されています。
ただし、安全であるとは言っても、残留塩素の影響は少なからず懸念すべきなので、浄水器は使用しておいた方が無難でしょう。
Q2.水道水ってミネラルは含まれているの?
はい、水道水にはミネラルが含まれています。
クリタック株式会社の調査によると、地域によってミネラル量は前後しますが、以下のようにミネラルはきちんと含まれています。
出典:クリタック株式会社HP
Q3.浄水器協会とは
浄水器のことを調べたことがあれば、どこかで見たことがあるのではないでしょうか。
正式名称は、一般社団法人 浄水器協会といいます。
「消費者に安心でおいしい水を提供する」ことをコンセプトに、浄水器の品質向上につとめている組織です。
活動は様々ありますが、主には消費者が安心して浄水器を選べるように、法令や規格基準に合格している浄水器へ「浄水器」適合マークを発行しています。
ちなみに、「浄水器」適合マークがつけられるのは、以下のような基準に合格したものです。
・浄水器の除去性能基準として、JIS規格及び浄水器協会基準に定めた試験方法によって試験を行い、その結果に基づいて表示すること。
・浄水器の構造及び材質について、安全であり有害な物質が溶出してこないこと。
・浄水器の表示表現が法令によって適切に表示され、消費者の誤認を生じないこと。
・適合要件については、学者、専門家など第三者委員が評価して決済する。出典元:一般社団法人 浄水器協会
Q4.NSFとは
「水」に関する世界最高水準の認証機関で、正しくは「National Sanitation Foundation International」といいます。
NSFの認定を受けるためには、88項目の性能テストをクリアするだけでなく、その性能がフィルター交換目安の2倍の期間維持できることを証明しなければいけません。
なので、NSFマークがついている浄水器はかなり信頼度の高い製品だと言えます。
まとめ
今回は、浄水器を使っている人が「意外と知らない正しい知識」を水オタクである私が本気で解説してみました。
間違いやすい内容を中心にお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
とくに第2章の内容は、よく誤解されていることが多いので、ぜひとも正しく把握しておいて頂けたらと思います。
最後までお読み頂きまして、本当にありがとうございました。
参考文献
- 千賀裕太郎監修(2013)『ゼロから理解する水の基本』誠文堂新光社
- 池裕次郎(2008)『安全でおいしい水が飲みたい!浄水器 かしこい選び方・使い方』亜紀書房
- アクア・ライフ・フォーラム21 (2011)『みんなの水道水』総合科学出版
- 角田 隆志,山中 登志子(2011)『なっとく!の水・浄水器選び』彩流社
- 馬渕知子(2016)『からだをすくう水の飲み方、選び方 水は最高のサプリメント』講談社+α新書